「御剣」
愛しげな声で名を呼ばれ、御剣は心地良さそうに瞳を細めた。
その声の主は微笑みを湛え、銀色の髪に指先を絡めて額にキスを落とす。
ぴく、と小さく肩を震わせ、目の前の肩に抱きつく御剣。
彼はそれを確認すると、腰を押さえ、御剣の内部に入り込んだ自身の抜き差しをはじめる。
白い喉がしなやかに反り返った。
「あ…ぁ…ッ」
「気持ちいい…?」
緩やかに前後して、そこが解けていくと徐々に動きを早めていく。
御剣の表情と吐息も余計に甘味を増して、内部の欲望を膨張させていく。
「…は、ぁ…あぁ…大き…成歩、堂」
「そう…?ふふ、此処は…どう?」
「あ…!あぁあ、ぁ…そこ…!」
「ん?」
硬く張り詰めた彼の屹立が前立腺を何度も突き上げる。
同時に無骨な指先が胸元と御剣自身を責めあげる。
御剣は甲高い声を上げて乱れ、成歩堂の優しくも雄の笑みに促されて、自失して喘ぐ。
「ひゃ、あぁ、ふぁぁっ…!成歩堂、なる…っ」
「うん…御剣」
「んん、愛してる、愛してる…っ」
「ぼくも…だよ」
唇を重ねられ、絶頂を促すような激しさで刺激されて、掠れた声を上げながら白濁を吐き出した。
同時に中で弾けた欲望を受け止め、肩を跳ねさせる。
「ぁ…はぁ…あ…」
「みつるぎ、御剣…」
きゅうっと抱き寄せられて瞼を臥せると、突然電子音が鳴り響いた。
「あ…」
「御剣、もう行っちゃうのか…?」
「そう…だな。すまない」
「…いってらっしゃい。」
「ああ、また…」
御剣が名残惜しげに頬を撫でながらそう呟くと、不意にあたりは闇に包まれた。
その直後に全てをかき消していくような真っ白な閃光に頭を貫かれ、キツく瞳を閉じた。
…それが収まり緩く瞼を開くと、次に目に映ったのは真っ白な天井。
御剣は大きな溜め息を吐き、ベッドの上で身を捩った。
さきほどまで彼を抱き締めていた筈の成歩堂はいない。
彼ひとりがきっちりとパジャマを身につけたまま、横たわっている。
…当然の事だ。全ては夢なのだから。
御剣はのそのそとベッドから這い出す。
あの類の夢にも慣れたものだ。毎日、いや眠る度に見るのだから。
しかしながら何故か、あの夢を見るようになってから気が重く、体も重い。
まるでこうして起きていることを拒むように、瞼が閉じそうになるのだ。
眠れば、彼が優しく抱き締めてくれる。
柔らかく微笑んでくれる。
愛しげに名前を呼んでくれる。
この身を満たしてくれる。
「…、っ」
御剣は冷水を叩きつけるようにシャワーを浴び、身支度をして出勤した。
「…検事、御剣検事?」
耳元で呼ばれ、御剣はハッと顔を上げた。
そこには心配そうな表情の糸鋸刑事。
「あ…、ああ…」
「大丈夫ッスか?最近居眠りが多いッス」
指摘され、御剣は眉間に皺を刻み小さく頷いた。
最近は一日に何度もこういうことがある。
仕事の最中だろうとお構いなしに、居眠りをしてしまいそうになるのだ。
いつも精神の張り詰めている彼としては、有り得ない事だ。
「疲れてるんッスよ…たまにはゆっくりして欲しいッス」
「…すまない」
とはいえ、睡眠自体は取っている筈なのに、と御剣は思う。
…夢の中の彼に会いたいと思うばかりに、眠ろうとしてしまうのだろうか?
御剣自身、夢に依存していることには気付いていた。
「…もう遅い。帰りたまえ、刑事」
「あ、はい、失礼するッス」
刑事を返して、自分も身支度をして、車に乗り込む。
通勤や帰り道での運転の時にすら眠くなるので、缶のブラックコーヒーを一気に飲み干してからアクセルを踏み込んだ。
滑らかに走り出す外車を扱う彼は気が抜けず、ハンドルを握りしめた。
五分ほど走った時だろうか。
道端に見慣れた青色のスーツ姿を見つけた。
遠かったがすぐに解り、御剣は心音が一気に跳ね上がるのを感じ取る。
車を走らせながら沿道を同じ方向に歩く彼を見つめて、ふと気が付いた。
彼の隣を歩いている、見知らぬ女性の後ろ姿。
通り過ぎる瞬間に、ガラス越しでも聞こえる笑い声、ちらりと見えた楽しそうな横顔。
その一瞬を永遠にも感じた彼は、無意識に深くアクセルを踏み込んだ。
一気に加速した真っ赤なスポーツカーに気付かないはずはなく、成歩堂は驚いて顔を上げる。
その車の見覚えある後ろ姿に、彼はまばたきをした。
「……御剣?」
御剣は偶然見かけた光景に苛立って、無茶苦茶にハンドルを切った。
どうせ依頼人とか、同級生とか、その辺りだろうと思いながらも黒いノイズに支配されそうになる。
そもそも、彼に恋人がいても何もおかしいことなどない。
夢の中の「彼」が愛を囁いても、それは彼ではないのだから。
彼は自分の恋人ではないどころか、この気持ちすら知らない、何も後ろめたい事などない、感じる必要などない…
「――〜〜っ…」
いつの間にか涙をこぼしながら。
どうたどり着いたのかも解らない自らの部屋のドアを開いて、体を押し込む。
それと同時に、意識を手放した。
「おかえり」
優しい声が響く。
瞼を開くと、見慣れた自分の部屋に成歩堂が立っていた。
「あ…」
これは夢なのだと悟ると同時に、その瞳に安堵を覚える。
自分だけを見つめる、愛しげな瞳。
彼は直ぐ傍まで来て、赤いスーツを着たままの彼をぎゅっと抱き締めた。
「…何で泣いてるの…?御剣」
「あ…な、何でも無い…」
「嘘…」
涙の伝う頬を舐め上げ、髪を流れに沿って撫でられる。
回された手が背中をさすり、御剣を溶かしていく。
ぼろぼろと大粒の涙が零れ落ち、彼は隠しもせず嗚咽を上げた。
「そう…ぼくには自分を偽る必要ないんだよ…」
「っう…成歩、堂…も…嫌…」
「何が…?」
「キミが、私を見てくれないの…が…」
「ぼくはきみだけを愛してるよ」
「本当に…?」
「本当だよ…。「ぼく」よりもきみを愛してる」
「…ッ」
「嫌…?ぼくなら、ずっとずっと誰よりも御剣を愛してる」
「成歩堂…」
甘い甘い言葉は自らの都合の良いようにしかかけられないと知っていても、御剣はそれに身を任せる。
彼の姿、彼の声、狂おしいほどに愛しい全てが、自分だけの物。
偽りでももう、それだけで。
「要らない…ッ、要らない…!もう、」
現実なんて――
そう絞り出した彼に、穏やかに笑った夢の住人。
「愛してるよ」
「ん…愛してる、愛してる、成歩堂…」
「ん…、ぼくだけの、御剣。」
ぎゅっと抱き締めてくれる腕の力強さも、胸が焦がれるような彼の香りも全て…
「ふふ…、「ぼく」には…返してあげない…」
そう言って笑った彼は、御剣をソファーに座らせた。
潤んだ瞳で見上げてくる彼の唇にキスを落とし、正面からソファに膝を付いて抱き締める。
「ん…ん…っ」
口付けを深くすると、辿々しくも舌が絡められる。
ちゅ、ちゅ、と音を立てるのを聞きながら、その行為に没頭する。
気付けば、首もとのクラバットを引き抜かれ、シャツのボタンが開かれていく。
それを助けるように腕をソファに下ろし、されるがままに口付けを受けた。
前を寛げると、胸の突起に指を這わせる。
ぴん、と弾くと体が跳ねてくぐもった声が洩れた。
その声を聞きたいのか唇を解放し、肩口に額を載せてそこをグリグリと刺激する。
直ぐに乳首はぷくりと膨れ、声を耐えて唇を噛み締める御剣。
それを見てクスクス笑いながら、鎖骨の上を吸い上げて痕を残す。
僅かな痛みに印を刻まれたことを知り、御剣は表情をとろけさせた。
目の前にいる彼から享受する愛情。
「彼」から受けられない愛の全てを。
「彼」は自分を愛してはくれないから。
「彼」と同じ姿をした彼に抱かれて。
…それが自分の内の欲望を具現化しただけの非現実であっても…
「…また泣いてる…」
訝しげに覗き込む成歩堂が歪む。
御剣は何故自分が涙を流しているのか解らないままに彼にしがみついた。
「全部癒やしてあげるから」
するりと手が滑って、スラックスのベルトを外す。
「ぼくが愛してあげるから」
無抵抗に見上げる彼の下着から、彼自身を取り出して指を這わせる。
「ぼくは傷付けたりしないから」
濡れた先端を抉り、グリグリと刺激する。
御剣はそれを受けて大袈裟な程に反り返り、ソファーの背に後頭部を預けながら口元に手を宛てている。
毎晩毎晩繰り返した行為のせいで敏感になっているのか、
それが彼の夢故の欲望なのかは定かではないが、御剣は快楽に弱く霰もない声を上げた。
「はぁ、ぁ、あ――ッ」
「ふふ、だから…ねぇ」
「な、るほど…ぅ」
「御剣、ずっと…一緒に居よう」
「あぁ!ぁん、あ、はぁあ…!」
身悶える彼の耳元に唇を寄せて、囁いた。
「もう、帰さないよ」
不穏な声色に瞳を見開いた御剣が見たのは、いつもと違う笑みを湛えた成歩堂。
いや、その瞳は笑っていない。
深海のような光のない目で見つめている。
優しい彼の瞳に突然宿った今まで見た事もない色…
ゾクッと背筋を駆け上がる悪寒を感じ、御剣は彼を押し退けようとした。
「ん…?どうしたの?」
「その、離して…くれないか」
「何で?」
クスクス笑う声色は、いつもと同じようで全く違う。
いや寧ろ、知覚出来ない所こそが…彼を構成する空気が一変して。
…狂気を孕んでいる。
「い…や、嫌だ…」
まるで一瞬で粉微塵に砕かれた空気が悪意を持って再構成されたような…
上手く言い表せないが、兎に角それは御剣を脅えさせた。
肌をピリピリと焼くような狂気に、身を竦ませる。
突然の変化。
これは自分の夢の筈なのに、
彼はいつも優しく微笑んでくれて、
こんな彼は知らない。
自分が愛した彼はこんな顔をしない…
「キミ、は…成歩堂じゃない…」
無意識にこぼれていた、掠れた声。
自分の声が震えているのが解る。
「成歩堂じゃない?キミが望んだ通りの筈なんだけど。キミだけを愛するぼくは。」
何故なのか、御剣自身にも解らない。
ただ、怖いのだ。
目の前の先ほどまで微笑んでいた「成歩堂」が。
夢だと自覚しているこの世界からは、覚めたいと思えば直ぐに目覚めることが出来た、筈だった。
「……!?」
なのに、御剣は目を覚ますことが出来なかった。
こんなことははじめてで、困惑しながら目の前の男を見つめる。
「何故…?」
問うと彼は、口元を歪めて、笑った。
「お前はずっと此処に居るんだ。死ぬまで…ね」
「何だと…?」
「ぼくはね、きみの悪夢を食べたいんだ」
「悪夢を?」
「ああ、お前が現実を悪夢のようだと思ったから」
そして瞳を細めて、その銀色の髪を梳きながら囁いた。
「…お前の中にある「悪夢」という現実…全部ぼくに頂戴」
優しく唇を重ねられて、御剣は小刻みに震える体を抱き締めた。
「意味が解らない…」
「嫌なんだろ?…要らないんだろう?きみを愛さない「ぼく」なんて…」
だから、と呟きながら首筋に痕を残された。
「お前は此処から出られない。
お前は二度と目覚めない。
二度と「ぼく」には返さない。」
目覚められない?
夢から出られない?
そんな馬鹿な事が、
でも現に目覚められない。
夢から覚めない。
本当に、そうならば、もう、
成歩堂に会えない…?
「嫌だ…っ!」
ずっとこの夢に居たいと望んだ筈なのに。
「此処から…出して」
絶望したはずの現実。
「…成歩堂ぉお…ッ!」
自ら望んで作り上げた世界の筈なのに。
絶望した筈の世界の、彼の名前を叫んだ。
御剣を愛する「彼」ではなくて、御剣を愛してはいない彼を…
姿形や声を再現してみても、そんなことは無意味で、
自分が好きなのは成歩堂の魂なのだと、
それは彼の内にしか宿り得ないと、
…思い知った。
「言ったよね?」
半笑いの声が響く。
御剣にのしかかっていた成歩堂が喉を鳴らして笑う。
「…お前は此処から出られない」
「――ッ!!?」
それと同時に、御剣は拘束された。
急に宙から現れた、無数の触手によって。
「な…っ…!!」
直径10cmほどの、ミミズのような赤黒い物体が、腕や脚に絡み付いて、御剣は激しく身を捩る。
しかし完全に身の自由を奪われ、床に引き倒され起き上がれなくなった。
「な、何だ此れは…!?」
「ふふ…、永遠に遊んでいよう」
成歩堂の姿をした彼が、御剣から離れてソファーに座る。
足元に転がっている光景を脚を組んで頬に手を宛て、傍観する。
絡み付いたグロテスクな触手は、少し乱れただけの御剣の衣服に滑り込んでいく。
肌が露わになっている腹部、胸元を隙間無く縫っていたそれらは衣服が邪魔だと判断したのか、すごい力で布を引き裂いていく。
「離せ、離せっ!嫌だ…嫌ぁあ!」
見るも無残な姿になった赤い布が絡むだけの肢体に触手が群がり、体中を這い回る。
ぬるついたそれが当然のように、御剣自身を捉えた。
「ひ…っ!」
更に両の胸、耳、首筋、脇腹、指先、膝裏と性感帯の全てを同時に刺激される。
「や、ぃや、あぁ…あ!」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら、的確に快感を引き出していくそれ。
くびれを弄び、睾丸を締め上げながら先端を押し開き、痛いほど張り詰める自身。
感じたくなどないのに、御剣の唇からは喘ぎが洩れる。
「ぅあっ、ひぁあ!あ、あ…」
「口は塞いじゃ駄目だよ…イイ声が聞けなくなっちゃうからね」
成歩堂は笑いながら触手を撫でる。
視線は御剣の痴態からそらさないまま。
自身に絡んだものが、その先端からしゅるりと針金のように細い物を出した。
そしてそれはあろうことか、尿道を割り開き押し入った。
「ぅああああああ!!!」
つんざくような悲鳴。
走った激しい痛みに白い身体は大きく反り返るが拘束に阻まれ、ただビクビクと痙攣しただけに終わった。
見開かれた瞳からは涙が溢れ出し、成歩堂の姿をした彼を映す。
触手はお構いなしに抜き差しを始め、内側から刺激される痛みに御剣は絶叫した。
その間にも、他の物が太ももに絡み付いて脚を左右に割り開き、奥まった場所に這う。
滑るものが入り口を開き一気に体を貫く。
一本はさほど太くもないが、何本も競い合うように入り込んで、人間では有り得ない程に奥まで侵入する。
「――〜〜ッあああぁアぁあ!!やだぁぁあ!」
異常な現状に狂ったような声を上げる彼の瞳は焦点が合わずにさ迷う。
有り得ない快楽を与えられ、首筋に絡んだ触手は軽く締め付けるように動く。
意識を飛ばすギリギリまで呼吸を奪われ、訳の解らなくなる頭を強烈な快感が襲う。
いや、快感と表現するのもおかしいほどの、責め苦。
「ぅぁぁぁああ!いやあああ!いたい、いやあぁ―――!!!」
触手に絡め取られ床から浮いた状態で、仰向けのような体勢を取らされ成歩堂に向かって脚を開かされている。
前後に差し込まれた赤黒い物体が激しく抜き差しを繰り返し、ずぷずぷと上がる水音と狂乱の叫び声。
成歩堂の姿をした男は心底楽しそうにその姿を眺め、手を伸ばした。
すると御剣の後孔に群がっていたものは一斉にそこから離れ、まだ肌が見えている場所に絡んでいく。
何もなくなったヒクつくアナルに指先を触れ、彼は笑みを濃くした。
その表情が滲ませる闇に恐怖し暴れようとする身体だが微動だにせず、唯一動かせる口で拒絶の言葉を吐き続ける。
その抵抗すら音楽のように聞きながらうっとりと表情をとろけさせる成歩堂は、その指を蕾に差し込んでいく。
何本もの触手に無理やり開かされたそこは、細い指など簡単に受け入れた。
それでも、確実に意思のある指は恐ろしい。
ひんやりとした無機質な物体とは違う、普通ならば安らげるはずの人肌の温度が、御剣を凍りつかせた。
「ふぁあ!ゃ――いや、嫌だあぁ…!」
その間にも他の箇所は責められ続けている。
針金のような触手が押し入った尿道は、何度も擦られる内に痛みだけでなく快感を得てしまっている。
絶頂を迎える事も出来ず、隙間からは絶え間なく白濁した液が洩れてぐちゅぐちゅと音を立てた。
「こんなに感じてる癖に、拒絶するなんて…」
彼の口元が奇妙に歪む。
地を這うような低音が響く。
「…お仕置き、だよ」
その言葉の意味を、御剣が理解する前に。
「――ひあああッああああああ!!!?」
ずぶりと、突き立てられたのは、成歩堂の姿をした彼の――腕。
「あ、あ、あ、何、何――…!!!」
触手に頭を下げさせられ、その光景を強制的に見せられた。
その太い腕が手首よりも上まで飲まれている場面は、どう考えてもあってはならないもの。
恐怖に歯が噛み合わず血の気の失せた顔で男を見上げる。
せまい入り口がギチギチと軋み音を立てて皮膚が裂けていく、
その痛みは凄まじいが、もはやそれよりも有り得ない現実に対する驚愕が御剣の喉から叫びを上げさせる。
「成歩堂!!?成歩、堂!!!や、だ、成歩堂!!!」
愛する彼の形をしたモノに、最悪の形で身体を支配される。
排泄器官の両方をその意思で弄ばれ、人としての尊厳を砕かれていく音がする。
零れ落ちる涙で顔をぐちゃぐちゃにする姿を見て満足げに笑い、中に入っている指を握り拳を作る。
それを遠慮無く突き入れられて、喉を声にならない悲鳴が震わせた。
自身を抜き差しするような速度で無理矢理に開かされる内壁が、触手と違う骨ばった手で擦り上げられる。
限界まで伸ばされた皮膚は痛みしか感じない。
いや、快感なのだろうか?
解らなくても仕方がない。
前立腺を擦られても、裂けた傷を擦られても、同じ様な声しか出ないのだから。
「いああああぅうぁぁあっ嫌ぁぁああ!!!嫌ぁぁああ!!助け、助けて!!!」
自由な箇所など何一つない身体。
救いを求める言葉しか上がらない。
想うのはもう戻れない世界の彼。
何故あんな事を願ってしまったのだろうか?
振り向かない彼なら要らないなんて。
これはその罰なのか?
彼の笑顔が見られたら、それで良かったなんて、
そんな事に今更気付くなんて、
…愚か過ぎる。
「永遠に遊んでいようね…ぼくの、御剣」
彼を模したモノが、笑った。
END
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