「…ム。トリートメントが切れそうだな…」
仕事も終わり、帰宅してシャワーを浴びながら御剣は呟いた。
海外から取り寄せている、瓶に入ったトリートメント。
確かあと数日で届くはずだと溜め息を吐いて、上品な薔薇の花弁が描かれた瓶を傾ける。
「少し量を減らそうか…」
足りなくなっては大変だとそう独り言を呟いた直後。
「…ッ!!?」
すぐ背後のバスルームの扉が開く音に、御剣は半ば飛び上がりながら振り向いた。
「御剣、見つけた」
そこには、満面の笑顔でハートマークを飛ばしている御剣の恋人の姿があった。
「なっ…るほどう…!」
「合鍵くれたでしょ?だから来てみた」
そう言うと、スーツのままバスルームに踏み込んでくるものだから、慌ててシャワーを止めた。
「スーツを脱ぎたまえ!!…いや違う!そもそも入るな!」
「何で?」
相変わらずの笑顔のまま、青いジャケットを脱ぎ始める成歩堂に視線を向けられて、御剣は背を向ける。
「何故脱ぐのだ!」
「さっき脱げって言ったじゃないか」
「出て行けとも言った!」
「知らなーい」
さっさと全て脱ぎ捨てて足を踏み入れて、ドアを締めてしまった。
御剣は狼狽えるが逃げ場はなく、背を向けて固まっていたところを抱きすくめられた。
「あ、髪洗った後かぁ。いいにおい」
「離れろ!」
「狭いから無理だよ」
当然の流れかのように体を撫で回してくる指先に、御剣は本気で抵抗するが、後ろから抱きつかれていては片腕を引き剥がすのがやっとだった。
しかし直後その腕がまた体に這うので、御剣は諦めてシャワーを浴びることにした。
蛇口を捻って降り注ぐ湯を体に浴びながら、屈まなくても手に取れる高さの棚から瓶を持ち上げる。
その時だった。
「っ!貴様は何をしているのだ!」
身体を撫でていた指先が胸の突起へと添えられ、あろうことかそこを摘み上げた。敏感な身体が跳ねる。
「ぁ、止めないかッ!」
「止めない」
再び引き剥がそうとするより早く、背中を押され胸からバスルームのタイルに押し付けられてしまった。
「ひっ…」
その際に胸を弄っていた手は引き抜かれた為冷たいタイルに御剣は身を震わせる。
「これじゃ乳首触れないね」
「触らなくて良い!」
「まぁいいや。ちょっとそうしてて」
言われたと同時に、伸びてきた腕は腰を撫で、少しタイルから離れていた下肢へ滑り込ませた。
「なっ…」
柔らかいそこに触れられて御剣は本格的に焦る。
しかし握り込み素早く擦り上げられると、体は勝手に反応してしまう。
徐々に硬くなるそれに御剣は、手に持っていた瓶をバスタブの縁に強めに置いた。
成歩堂は一瞬手を止めたが、何事も無かったかのように手を動かす。
尿道口をぐりぐりと親指で擦られ、爪を立てられ、裏筋をなぞられて直ぐに高まるところまで高まってしまった。
「あ、あ…」
上擦った声が唇から洩れる。
散々恋人に教え込まれている為、触れても居ない後孔が疼いてしまう。
「っ…く…もう、離したまえ」
「もうなの?」
絶頂を予感し腰を捩らせる彼にクスッと笑いかけ、成歩堂は相手の言葉通りに手を離した。
「…!」
解放できなかった熱が逆流するように体を巡り、ひくひくと体が震える。
「な…何故…?」
「離せって、お前が言ったからだろ」
思わず涙が浮かんだ瞳で振り向いた御剣の内股に爪で擽るような刺激を与えると、その目は閉じられ再びタイルに上半身を預けた。
それを良いことに成歩堂は目についた瓶を手に取ってキャップを取り、傾けて手に取った。
それは成歩堂がよく目にする白い物ではなくピンク色に透き通ったものだった。
薔薇の甘い香りが広がって御剣が振り向いた。
「な、何をしているのだ!」
「え?ちょうど良いでしょ、ぬるぬるでさ」
「止めろ!それだけは止めてくれ!」
残りが少ないからか御剣は怒りよりも何故か懇願するように叫んだ。
成歩堂は理由を考えようともせず手に取ったそれを、後ろから抱きすくめた御剣の胸、下肢に塗り付けた。
ぬめぬめと手を滑らせると気持ち良いのと困惑が混じった表情で御剣が喘ぐ。
そんな彼をタイルに預けてもう一度トリートメントを手に取ると、今度はヒクつく後孔に塗り込んだ。
「嫌、使うな、それ以上…っん」
「御剣に薔薇ってすっごく似合うよね」
否定を無視して何度も円を描くように、皺の1つ1つを延ばすように滑る指先で入り口を解していく。
胸の尖りも親指で上下に弾いて刺激を与える。
「はぁ…んう、ヌルヌルする…」
「ローションみたいでキモチイイ?」
「あ、あぁあ…」
もう解れてきているそこを開き、指を挿入させていく。滑りのお陰で抵抗はない。
乳首への刺激で締め付けてくる御剣の熱い中が、粘着質な液体で濡れそぼっているのが指先で分かって成歩堂は息を飲んだ。
「御剣、女の子みたいになってるよ」
甘ったるい香りで頭がくらくらする。
蜜壺と化した箇所に二本目の指を挿入し、内部を探る。
第一関節から先をぐにぐにと動かしていくと、御剣の体が跳ねる場所があった。
「んッ!ぃや…っ!」
嬉しそうな笑みを浮かべた成歩堂は、その箇所を中心に押さえたり引っかいたり刺激を与える。
片手を胸から離しタイルに付くと、抜き差ししながらそこを突き上げると、身体がビクビク反り返った。
「あぁっ…成歩、堂」
無意識に上下に揺れる御剣の身体。
タイルに押し付けられている為に胸の突起と彼自身が、トリートメントでヌルヌルと滑る。
吸い付いてくるような言いようのない快感が走り、くちゅくちゅ立つ淫靡な音に更に煽られてしまう。
「はぁ…あ…」
熱い息を吐きながら鈴口をタイルに擦り付ける。
その自慰めいた動きに、もっと見ていたい気持ちと、今すぐに挿入してしまいたい気持ちが成歩堂の中でせめぎ合う。
「あ、ぁ…気持ち良い、きもちいいっ」
しばし悩みつつも、御剣があまりに感じ入っているので手は止めずこのまま絶頂へ昇らせることにした。
「ぁあ、も…、ひぁあ…ッ」
白濁した熱い飛沫が真っ白なタイルに飛び散る。
トリートメントと合わせて、もともと光沢のある壁が余計ぬらぬらと光る。
絶頂を迎えて体から力が抜け、座り込みそうになる体を壁に無理やり押し付けて指を引き抜いた。
代わりに突き付けた自身を半ば性急に挿入するが、ぬるりと潤滑に侵入することが出来て成歩堂は身震いした。
「うわぁ…御剣の中、ぐちゃぐちゃだね…」
「くぅっ…」
内部に熱くて大きな存在を感じ、痛みはなくても違和感はある。
だが柔らかく湿った内壁はそれを逃すまいと、小さく脈打ちながらぴったりと包み込んでくる。
成歩堂は口角を上げて目を細め、腰に手を添え尻を突き出す形にさせた。
濡れたタイルから離れた御剣自身は達したばかりなのにまた芯を持ち始めていて、きゅっと握り込んでやるとジワリと質量を増した。
「此処は自分でしててね…ぼくが支えてないと立ってられないでしょ?」
小さく喘ぐ彼の、濡れたアッシュグレーの髪に身を伸ばして口付け、彼のものから手を離す。
ぬるぬると滑り心許ない壁に上半身を預けさせ、右手を引いて自身に添えさせる。
顔を真っ赤に染めて手を引こうとするが、埋めた自身で中を擦り上げてやると動きが止まった。
成歩堂はニヤリと口角を上げ、両手でしっかりと彼の腰を掴み、ゆっくりと抜き差しを始めた。
すると予想通り、御剣は呆然としてしまって其処から手を離さないままに小さな喘ぎ声を上げる。
「ほら…手、動かして…」
促すと、御剣は素直にゆるゆると手を動かし始める。
「そう…良い子だね」
子供を扱うような言い草に機嫌を損ねたのだろうか、御剣は手を止めてしまった。
しかし成歩堂が腰を捻り、与える刺激を変えて緩く突き上げはじめてやると再び自身を擦り始めた。
彼が感じる場所を狙って与えられる刺激に合わせ、根元は手で、先はタイルに擦り付けるように。
自由な片手は強くタイルを掴み、がたがた震える体を支えている。
赤く尖った突起も同時に刺激され、全身を苛むような快感が走る。
「あぁ…あ、あ…っ」
誰も居ない床を打つシャワーの音よりも鮮明に頭に響いてくる気がする甘い声。
激しく打ち付けた時の叫びにも似た嬌声も勿論良いが、感じ入った洩れるような喘ぎも興奮するものがある。
頭を優しく撫でて緩やかに続けると、彼の声は立ち込める香りのように甘く艶を増していく。
「御剣、御剣…」
意識せずに呼んだ声は上擦っていて、成歩堂は自分も追い込まれていることに気付いた。
それでも尚、わざとゆっくり内部を掻き回し、ぐちゅぐちゅに溶けた、それでも心地良く締め付けてくる肉壁に心酔する。
成歩堂がさらさらと揺れる乱れた銀髪を撫でて背中に唇を寄せると、御剣は振り返り其方を見詰める。
喘ぎの洩れる唇は赤く、このフレグランスの中では綻ぶ花弁に見えた。
「ああそっか…御剣は、薔薇…だね」
「…?」
言葉を理解してかせずか僅かに訝しげな表情を浮かべた彼。
ちょうど深紅の薔薇のように高貴で、綺麗だと感じ、成歩堂は一瞬何かを憂うような表情の後、満面の笑みを浮かべた。
「ぼくなら、沢山傷付けて良いから…」
「え…?…あ、あぁ…!」
その言葉の意味を尋ねようとしたが、成歩堂から与えられる刺激がいきなり強くなり、嬌声に消えた。
タイルに押し付けていた下肢を引かれ腰をホールドして、感じる場所を思い切り突かれる。
抜く際には雁が内壁を引っかくように腰を動かし、敏感な入り口を押し広げてからまた押し込む。
素早く何度もそれを繰り返され、今までの緩やかな突き上げと、自ら辿っていた快楽に高ぶった体がびくびくと震える。
壁から離れた御剣自身を握り込んで上下に擦り、先端の窪みを人差し指で爪を食い込ませるようになぶる。
トリートメントで滑りてらてらと光るそこは、次々とカウパーを溢れさせて脈動していた。
「あぁ、あ!ん、ひぁあっ」
もはや限界に近いのか浴室内に艶めいた声が反響し、成歩堂を追い詰める。
「く、御剣っ…イきそ…?」
耳元で吐息を吹きかけながら囁くと、彼は大きく何度も頷いた。
「うん…ぼくも。だから…ね」
一緒にイこう、と彼らにとっていつもの台詞を口にし、与え続ける刺激を一層強いものに変える。
御剣の体がびくんと震え、より高い声が耳に響いた。
それと同時にキツく締め付けられ、成歩堂はそれを内部から引きずり出して白い背中に放った。
「はぁ…っ」
成歩堂の腕の中の体は余韻に震え、途切れ途切れの吐息を洩らす。
くったりと力が抜けてしまった彼を反転させてきゅっと抱き締めると、弱くも抱きつき返してくれる。
「みつるぎ…、愛してるよ」
大きな手が髪を撫で、背中をさする。
思わず眠くなりそうな温もりを受けて御剣は表情を緩めた。
絶対零度で美しく咲き続けた赤い薔薇は、温もりを得て更に輝きを増したように思えた。
成歩堂が見とれていると、御剣はふいにその微笑みを崩した。
「…私もキミを愛している。………例え明日、髪がとんでもないことになったとしてもな!」
空になってしまったトリートメントの瓶で、軽くだが頭を殴られた成歩堂。
だが、その表情は以外と幸せそうだった。
END
次の日みったんの後ろハネが増えてたとかなんとか。
もっと真面目に薔薇の話も書きたいな。
真紅のバラは、velvetではないんですがわざと。
|