「なぁ、成歩堂…」
掠れた声がぼくの耳元で響く。
そのまま耳朶を柔らかく食まれ、ぼくは小さく震えた。
横から抱き付いてくる形でその膝は、椅子に座っている僕の脚の間に置かれて緩く押し付けられている。
指先はYシャツ一枚のぼくの胸元を滑って、撫で回している。
普段なら嬉しいけど…正直、困る。
「ねぇ…ぼくは仕事してるんだよ。邪魔しないで」
そうきっぱり言ってやると、御剣はヒラヒラを揺らしながらクスっと笑った。
「酷いな…恥を忍んでこんな事をしているのに…」
「嘘つけ!」
「ほら、触っても構わないんだぞ…?」
御剣は自らの纏っているベストのボタンを開けYシャツを捲り上げる。
最近やたらと彼が発情している。
「…っ」
ぼくはうっかり魅入っていたが、ギリギリで我に返る。
「あぁっ、もう!邪魔しないでってば!」
明日までの書類書けないんだってのに、きょとんとした顔で見つめてくる。かなりの至近距離。近いって!
「構って、くれないのか…?」
誘う台詞は甘い声で、紡ぐ薄桃色の唇。
「成歩堂…」
さらに密着してきた御剣は、僕の太ももに指を這わせる。
スラックスの上から爪を滑らせるように。
くすぐったいような刺激が、意識せず熱を生む。
覗き込んでくる御剣と目が合う。
長い睫、銀の瞳、さらさらの髪が頬をくすぐる……
「……あああっ離れてっっ!!」
「チッ…」
いま舌打ちが聞こえたけど気のせいだよな?
とりあえず諦めさせようと頭を撫でて、頬にキスだけしてあげる。
「悪いけど一人で遊んでてくれよ」
御剣はムッとしたような表情を浮かべたが、少しして、頷いた。
そのまま立ち上がって部屋を出て行ってしまったので、少しだけ可哀想に思いつつも、仕事に集中。
5分ほどして、扉が開く音がした、戻って来たのだろう。
ぼくは特に気にせずにペンを進めた。
意外と順調に進み、暫くして一休憩と溜め息をついた。そして気付いた。
ぼくは集中し過ぎる質だから今まで気付いていなかった。
「ん…んっ…」
声に顔を上げたら、御剣がソファで自慰をしていた。
「ええええええ!!!?」
「気付くのが…遅い…」
ぼくは激しく動揺してペンを落とした。
彼は赤いスラックスを膝まで下ろし、ソファに正座に近い状態で座って、前かがみで腰を浮かして手を動かす。
「ん…ぁっ…」
後ろに回された指は既に内部に入っていて、自分で良いところを擦っているらしくその身体が跳ねる。
艶やかな声と視線。赤く染まった頬。脱ぎかけのYシャツ。その誘惑に、身体が疼くのが解った。
「は…ぁ、成歩堂…」
「…駄目だ、御剣…」
「っ…おねがい…でないと、私は…もぅ」
泣きそうな顔で懇願の言葉を口にすると、演技なんだろうと解りつつも、ぞくっと背筋が粟立つ。
それでも何とか首を横に振ると、彼は溜め息を吐いて後ろの指を抜きソファの上の何かを手に取った。
「もぅいい…」
その手に握られていたのは、卵形のローターだった。
それをゆっくりと口に運び、驚くぼくに見せつけるように舌にのせて口内に収める。
いやらしい水音をさせながら十分に濡らすと、コードを引いて取り出す。
「もう、その気になってもさせてやらないからな…」
ぼくを睨みながら、舌を出しつつそう言う御剣。
「………上等だよ」
ぼくは自分のスイッチが入るのにはっきりと気付いた。
この際限界まで焦らしてあげよう、そんな今までの焦りからは想像もつかないことを考えて。
「…言っただろ?一人で遊んでてって」
いきなり濃い笑みを浮かべたぼくに、彼は一瞬驚いたような表情をしたが、直後には恍惚として頬を染めた。
「あぁ…」
ぼくの変化に、その声と表情は更に甘くなる。
これからたくさん虐められることを期待しているのだろう。
「ほら、早く」
椅子に脚を組んで、傍観する。
ローターを持った手を秘部にあてがった。
一呼吸おいて指に力が籠もり、それを内部に押し込んでいく。
「ぁ…は…あぁ…」
溜め息混じりの喘ぎと共に、それはすっかり飲み込まれてしまった。
小さいが自分以外の物を受け入れた彼は、はぁはぁと熱い息を吐いている。
秘部から尻尾のように繋がるコードを、その長い指が辿り、端まで辿り着くとスイッチに手をかける。
カチリ、という音と同時に、その背筋が緩く反る。
「あ…ッ…、ん…」
「ちゃんと見せてよ…御剣」
その言葉に従順にソファから降りて、上半身をソファに預け四つん這いになる。
先走りで濡れている自身とローターの挿入されている場所まで晒された。
視線を感じて、恥ずかしげに此方を見上げてくる瞳には欲望の色しか伺えない。
直ぐに御剣は自分のものに手を添えた。後ろで震えるローターに片手を、もう片手で前を扱き始める。
「ん…、はぁ…ぁ」
熱い吐息を洩らしながら、虚ろな表情で両手を動かす。
敏感すぎる部分を刺激したら直ぐにイってしまいそうなのか、前はただ上下に擦るだけ。
後ろに飲み込まれた指は良い所を探して蠢いている。
「っ…!」
その虚ろな目が見開かれる。前立腺に触れたんだろう。
「あ…っ、此処…」
何かを訴えるように僕に視線を注ぎながら、前を弄っていた手も後ろに回す。
そしてその指先はまたコードの先に伸びた。
「っは…あぁ!」
最強に切り替わった振動に、喘ぎが激しくなる。
力が入らなくなりそうな震える指先。
片手でコードを引きながら、もう片方の手の中指で、ピンポイントでそこを狙うように押し当てているようだ。
「其処が気持ち良いの?」
問い掛けに御剣は切れ長の瞳をぎゅっと閉じて頷く。
声を耐えようとしているのかソファに噛み付いて、ビクビク震えている。
「…声」
そう呟くと肩を震わせて此方を見た。
耐える様子と飲み込みきれない声もそそるけど。
もっと狂いそうな声を上げてくれないとつまらない。
「…っ」
「ほら…手が止まってるよ」
促してやると、再び両手に力が籠もる。
同時に、耐えることの出来ない声が上がった。
「ぁ…ぁ、あ…」
「まだ我慢してるだろ」
「あぁ、ッすまな…っあああ」
ローターにも、視線にも、体勢にも、言葉にも感じているのか、涙と涎でソファがぐちゃぐちゃだ。
「ああぁッ、…良いっ…!」
ひっきりなしに喘ぐ御剣の腰はがくがくと震え、腰を持ち上げられなくなって。
上半身ごと床に滑り落ちて尻だけを僅かに持ち上げる体勢になる。
「はは、情けないね…」
僕は重い腰を上げて傍に寄ると、自分を責め続ける御剣の顔をのぞき込む。
「ひァっ、成歩堂…っ!」
「そろそろ限界なのかな…?」
御剣、と耳元で低く囁くと体がびくりと跳ね上がった。
僕の声にすら感じるきみが愛おしい。
「ん、あぁ!も、イく…!」
そう叫んだ声に、すかさずその腰を持ち上げて、自身の根元を強く握り締めると、御剣は大きく肩を震わせてこちらを見た。
「っ…!!?」
寸前で止められ、目を見開き困惑した表情で僕を見つめてくる。
ローターを動かす手は止まってしまっている。
「このままイけるなんて、思ってた?」
体を反転させ、床に寝かせる。
自分のネクタイを引き抜いてそのまま自身に巻き付け蝶々結びに。
更に中から抜いたローターを、自身の割れ目に押し付ける。
「なっ、なるッ、あぁぁあっ!!?」
目は見開かれて、背筋は一気に反り返った。
叫びに近い声が上がる。
イけないのに、自身で一番敏感な場所を直接責められるなんて、そりゃ気も狂いそうになるよなぁ、なんて思いつつ、ベッドサイドに常備してある弱めのテープで固定した。
「あぁぁ!死ぬ…や、あぁ…!!」
「大丈夫、そう簡単に死なないって。」
そう言ってぼくは、多分「にっこり」っていう効果音が一番似合うだろう表情で笑った。
本当にヤバそうな御剣が抵抗しようとするけど、力が入ってなくて片手で押さえ込めた。
暴れる彼のまだ自由な脚がぶつかったものがあって、ふと視線を床に落とすと、それを引き寄せる。
布製のバッグだった。
ジッパーを引いて袋を開けてみる。
「…やっぱりへんたいだね、御剣」
中には、大人の玩具とか夜に使う物が沢山入っていた。
なかなかマニアックな物もある…
御剣は泣きながら喘いで「違う」って言ってるけど。
「今度、使ってる所見せてね」
今すぐ試してもいいけど、敢えて今使ってるローターと同じ物を手に取る。
「ん、や、あぁあ」
閉じようとしていた脚を無理矢理開いて、またもそれを後孔に押し込んだ。
抵抗なく受け入れた内部が、ビクビクと痙攣している。
最強にしたそれを迷いもなく前立腺に突きつけると、御剣が叫び声を上げた。
前後の激しすぎる刺激とイケない辛さで意識が飛びそうな程感じているみたいだ。
手の爪はソファを傷付けてしまっている。
流石にこのままじゃ保たないなと思い、前を弱にしてあげると涙に滲んだ瞳でぼくを見上げてきた。
「御剣…ぼくのが欲しいんだよね?」
返事も聞かず身体を抱え上げると、窮屈なソファから、隣のテーブルに御剣を移動させる。
「ぁ…」
困惑した表情を浮かべつつも、頬は赤くて期待した目を向けられる。
微笑みを返し、押し倒して脚を広げさせ、身体に付くぐらいまで折り曲げた。
ベルトを外し、彼の痴態で勃起したそれを取り出した。
御剣は頬を赤く染めながら、ぼく自身を見つめている。
頬を撫でて、入り口にあてがうと、彼はゾクリと身体を震わせた。
「ぁ…っ、このまま…か?」
「その方が興奮するだろ…?」
笑いながら、ローターを指の届く一番奥まで押し込み、自身を一気にねじ込んだ。
「っああぁ!」
彼自らの愛撫でそこは慣らされていて、でもやっぱりキツかった。
ローターが普段は届かない所まで刺激しているようで、まだ動いてもいないのに御剣の口からは甘い声が洩れる。
ぼくはぼくで、ローターが先端の割れ目を直に攻撃してくるし、たまったものじゃない。
「ぁ…成歩堂っ…」
「嬉しい…?こんなに締め付けてさ」
「も…早くっ…早く、成歩堂…」
「…仕方無いなぁ」
腰を掴み、段階も践まずいきなり強く打ち付けると、その身体が跳ねる。
「っ、痛ぃ…っあぁ!奥に…!」
「んッ…、痛いのが、イイんだろ…?」
そう言うぼくも、中が熱く柔らかく溶けそうなのと、ローターに抉られる、痛みを伴う快感に息が途切れる。
ネクタイを結び付けられた自身は、赤く色付き先走りを溢れさせてびくびくと痙攣している。
達せないことすらその身体は快感と受け取っているみたい。
「可愛い…可愛いよ御剣」
「んっ!も、おかしくなる…っ」
「ぼくを誘惑した罰だよ…」
寧ろご褒美か、と思いながら先端の窪みにあてがわれたローターで尿道をぐりぐりと刺激する。
「あ…!あ、ぁぁあ!」
精液を吐き出すことは出来ないが、達したように身体を震わせる。
前立腺を刺激しながら、何度もそれを繰り返すと、可哀想なくらい身体を緊張させた彼の瞳から、大粒の涙が溢れ出す。
「イかせて…もぅ…」
泣き顔と懇願する声にゾクッとくる。
「ん…もっと焦らしてあげたかったんだけど…ぼくもローターのせいで限界だからね」
手を伸ばし、ネクタイを解いてあげる。
そしてその身体を抱き上げ、ソファに座ったぼくの上に乗せて耳元に唇を寄せる。
「ふふ…自分でイけるよな…?」
その言葉を聞いた彼は返事もせず、僕の上で腰を振り始めた。
「ん、んんんっ!」
「…っ、御剣」
どんな角度から見ても彼は綺麗で、いやらしい。
淫らな動きは一番気持ち良い場所を的確に突いているようで、切なく甘い声が上がる。
熱を帯びた柔らかい胎内を下から突き上げると、いやらしい音が立つ。
「はぁ、良いよ…」
「あ、成歩堂、イく、イくぅっ…!」
「うん…ぼくも…」
下から突き上げ、前のローターをグリッと押し付けてから弱いテープを一気に引き剥がしてやる。
その痛みすら快感にすり替わった御剣は一際大きく鳴いてぼくと自分の腹に、白濁を吐き出した。
ぼくはきゅうっと締まった中に熱い飛沫を注ぎ、その体を強く抱き締めた。
「うん…。解ってた、解ってたよ…」
勿論その後ぼくは、気持ちよさげに眠る御剣を横目に、徹夜で書類をやっつけ続けたのだった。
おわる
コンセプトは淫乱御剣と豹変成歩堂だったのに何か違う…気がする。
今度は御剣をもっと焦らして焦らして焦らしまくるぞー(決意)
|