「成歩堂…」

「え、み…御剣…ッ?」

「もう…我慢出来ない…」

突然身を寄せてきた御剣はそう呟いて、ぼくをソファーに押し倒してきた。
さっきまで彼が手にしていたグラスが床に落ち、ガランと氷の音が響く。
琥珀色の液体がフローリングにぶちまけられてしまっているだろうが、気にしている場合じゃない。
ぼくに跨がっている彼を見上げると、濡れた瞳と視線がかち合った。頬は赤く染められ、息が上がってしまっている。
何故だかは分からないが、御剣は確実に欲情してしまっていた。

「どうしたんだよ、いきなり…」

性急にぼくのベルトを外し始めた彼に尋ねると、彼は応えずキスをしてきた。
酒が入ったせいだろうか…思考力の低下しているとろんとした瞳がぼくを映す。
スラックスのボタンとジッパーまで開けられ、ついに白い指は衣服の中に入り込んできた。
抗議しようとした唇は彼に塞がれ、舌まで入れた情熱的なキスを贈られる。

「ん…ふっ」

切なげに洩れる吐息がぼくに届いて、ぞくぞくする。
…まぁ、せっかく御剣が発情してるんだから、ぼくとしては。
拒む理由、ないよね。

「ん、してあげるから、脱ぎな」

そう命令すると、御剣は従順に自分のシャツに手をかけた。
不器用な指先が欲情で震えて、余計にボタンを外しづらくしている。
見守っていてあげると、漸く衣服の前が開いて真っ白な胸板が露わになった。
恥ずかしげにシャツを肩から抜く仕草がたまらなく可愛い。そんなに照れることじゃないはずなのに。
早く抱かれたいのか、促さなくても彼はベルトに手をかけた。カチャカチャという金属音がやたら官能を煽る。
ただでなくても不器用な彼。酔いが回って覚束ない手付きが効果的にぼくを焦らしているなんて、知る由もないのだろう。
跨がったままではスラックスを脚から抜けないから、ぼくの太ももに座って片足ずつ脱いでいく。
下着も同じようにすると、隠す物を一切失った滑らかな白い肌が露出する。
相変わらずいつでもぼくを興奮させる身体。
膝に乗った彼は誘惑するようにぼくのネクタイを外し、うすいシャツの上から胸板を撫でてくる。その指先はいやらしくて、欲情を誘い出す。
そのまま誘ってみてと目で訴えると、演技なのか違うのかは定かでないが、余計に瞳をとろけさせた彼。
ひとつひとつゆっくりした動作でボタンを外し、ぼくを焦らす。

やっと全部外すと、前をはだけさせてくる。彼の視線はぼくの顔には向かず、あらわになった体だけを凝視していた。
そんなに鍛えてるわけじゃないけど、御剣は好きみたいだ。
おそるおそるといったように触れた指先は、すぐに焦ったようになで回し始めた。
そんな忙しない手付きじゃ感じられないけどね、可愛いから許してあげる。

でもこんなんじゃ足りないって解ってるらしい御剣は、鎖骨にキスをして首筋を舐め上げてきた。
そして同時にぼくのズボンを脱がしにかかった。不器用なのに頑張るとこが可愛い。眉間のシワが深くなってるとこも。
ようやく取り出された頃には、焦らされたせいでかなり育ってしまっていた。
御剣はソファから降りてフローリングに膝を付いて、迷わず唇にそれを導く。

「ん…サービスいいね」

御剣は応えず、かなり深くまでくわえ込む。熱くてやわらかくて堪らない。そんなに上手くはないけど、ね。
髪を撫でてやると、頭を何度も上下させながら御剣がこっちを見た。とろんとして潤んだ色素の薄い瞳が綺麗。それに扇情的だ。

……ん?いや、ちょっと待て。

「おい、御剣?」

呼びかけても返事はない、頭は緩く動いてるけど。そういえばさっきからぼく一人で喋ってる、って気が付いた。
今までの付き合いで知ってる、こいつ、全く喋らなくなったと思ったら……

寝る合図。

「ちょ……ちょっと…」

ぼくのをくわえたまま、座った状態でいとも簡単に眠りに入りやがった。
……しかも、寝たら起きないんだよ。

かなりな事になってるぼくの…どうすんの?煽るだけ煽って酷い奴だ。

「あーあ…」

ぼやいて、銀の髪を撫でてみた。怒りというかもやもやした感情が渦巻いてる。
自分も勃たせておいてよく眠れるもんだ、寝顔も寝息も可愛いけど。ああ、うん、可愛い。
…やっちゃうか。

ぼくは御剣の顔を離させて起き上がってから、入れ替わりに彼を押し倒した。一瞬瞳が開いたが、眠気に負けたのかはたまた酔いでどうでも良くなってるのか、すぐにまた閉じる。
あどけない顔の彼にキスして、身体を撫で回してみる。やっぱり反応は殆どない。寝てる相手ってこんなんだな、起きてる方が楽しいや。
…ま、止めませんけど。

無言で脚を掴み左右に割り開いても、抵抗も恥じらいもない。全部がぼくの目に晒されてるってのに…せっかくだからじっくり観察でもしようかしら、なんて考えたけど、あまりに情けなくなるから止めた。
御剣が寝てる以上、気持ちよくさせるのは不可能だ。まぁ起きるレベルまで刺激したら別だとは思うけど。
とにかく普通に高ぶるセックスは望めそうにない。そこまで変態じゃない。という訳で、だ。
御剣が傷付かない程度慣らしてから、ぼくの性欲処理に付き合って頂こう。だってこんな風にしたのはお前なんだからね、文句ないだろ?

「…、……」

入り口をマッサージすると、寝息が僅かばかり乱れた。でも起きはしない。
そのまま、単に慣らす為だけの行為を繰り返す、これは愛撫とは呼べないな。
恥じらいも、感じもしない、さながら自慰の道具。それはそれで…興奮するかも。
滑らかな白い頬を染めもせず、恥ずかしい格好に喚きもしない、本物みたいに綺麗であったかくてやわらかいダッチワイフ…
いや、ダッチハズバンド?とか?

「さて、じゃあ…いいかな」

ずっと臨戦態勢だったぼくのものを、そこにあてがう。
わずかに呼吸を乱した御剣にキスをして、ず、と先端を挿入した。流れを止めずカリを通す。

「ぁ…ぐ」

彼の眉根が寄り、上がる呻き声。苦しいかな?でも、きっとすぐに気持ち良い夢が見られるよ。

意識のない御剣の脚はだらんと開かれ、腰も投げ出されている。協力がないぶんいつもより辛くはあるけれど、妙な興奮に身を動かされてぼくは腰を揺らしはじめる。
無抵抗の相手を犯す、ただの自慰行為。

「っ…く」

いつもより締め付けが悪いし蠕動もしない。あれは御剣が感じてるからなんだって今更ながら思わされる。
意識のない彼を起こさない程度の刺激でもぼく自身は硬度を増して、このままならイけそう。興奮してヤバい。なのに。
なんか寂しいような、空しいような、そんな気持ちに駆られる。

「…ぁ」

突然御剣が小さな声を上げた。ぼくは無意識に彼の一番イイところを突いていたみたいだ。自分の快感の為だけにきみを好きに使ってやろうと思ってたのに、だめだな、ぼく。
……こんなことで嬉しくなっちゃって。

また前立腺をつついてみる。甘い声を洩らし、まだ夢の中な瞳が一瞬だけ姿を見せてすぐに閉じた。

「……御剣」

やっぱりまだきみは起きやしない。それでもぼくがしたいのは、ふたりでのセックスみたい。
夢の中の可愛い御剣。ねぇ…見せてあげるよ、中学生みたいに夢精しちゃうような、淫夢。










逆転裁判5おめでたい!(全然関係ない