御剣と成歩堂が高校生まで同級生だった設定の、半パラレルです。
続きます。
「う…」
深い眠りに付いていた成歩堂は、身動ぎして小さく呻いた。
目を覚ますようすはないが、苦しげな吐息を洩らす。
「うぅ…、…うっ…」
不意に、体がビクッと震える。
そこで、成歩堂はようやく僅かに覚醒する。
とはいえ完全に目を覚ました訳ではなく夢うつつで、瞳も開けないままだった。
そして同時に気付いた。間違いなく、自分を襲っているのは性感だ。
回らない頭で、最初の彼女の名前を呼んでみるが、返事はない。
次の彼女、その次。もし呼ばれた相手が聞いていたら怒るだろうが、彼は完全に寝ぼけているので無意識だ。
そして最後の彼女の名前を呼んで尚も沈黙を受け、成歩堂の唇は動かなくなった。その瞬間だった。
「……まさか本当に私の名前が出ないとはな……」
聞き慣れた声に、呼んだどの名前とも違う声に、成歩堂が瞳を見開いたのは。
それは数時間前の事だった。
6年ぶりに再会した親友である御剣が珍しく飲みに誘って来たので、特に仕事も無かった成歩堂は快く頷いた。
近いからという理由で成歩堂の家で飲むことになった。
コンビニで酒を買い込んでアパートに上がり込み、昔話に花を咲かせた。
「……眠…」
会話の途中、いきなりそう呟いた成歩堂に、御剣は苦笑を浮かべ手に持っていたビールを机に置く。
「少し眠るか…?」
成歩堂はこくりと頷いて、そのままソファーで眠ってしまったのだった。
そして、彼の記憶は途切れ、目覚めたときには冒頭のような状態だった。
目の前に、というか自分の上に乗っている幼なじみは、何故かYシャツしか着ていない。
しかもはだけて胸板が覗いている。
「何、やって…」
腕を伸ばそうとして縛られていることに気付いた。
衝撃的な事実に彼は目を見開いてアッシュグレーの瞳を見つめた。
「御剣!?なんなんだ、ふざけてるのか!?」
自分が危険な状態だと解り、成歩堂が暴れようとするが、腰を跨ぐように乗られているので身動きが取れない。
眉を寄せて睨みつけてくる成歩堂に、御剣は一瞬だけ戸惑ったような表情を見せたが、直ぐに不敵な笑みを浮かべた。
「…黙っていろ、此の、屑が」
さも当然かのような高圧的な態度は、成歩堂の言葉を失わせるには十分だった。
そして、その後の御剣の行動によって彼は更に硬直する羽目になる。
「…ッ…!!?」
混乱と怒りですっかり忘れていたが、先程感じていた性的なものの原因。
それは目の前の男によるものだった。
腕をベッドの柱と縛られ、仰向けに転がされたままの成歩堂。
その上に乗った半裸の御剣。
ズボンをずらされて露出している成歩堂のそれは、あろうことか、御剣の中に飲み込まれていた。
「ん……あ…ッ、あぁ…っ」
呆然として抵抗すら出来ずにいる彼を無視し、上の男は激しく上下運動し、喘ぎ声を上げ始めた。
眠っている間にもしていたのだろう、それは固く熱を持っていた。
相手の腰を掴み、自分の感じる場所に強く押し付けて白い身を反らせる。
それは一心不乱と言っても良かった。何かを忘れるように、彼は快楽を追い続けている。
「なる、ほど…ぉ」
名を呼ばれ、ようやく我に返った成歩堂が抵抗しようとするが、意味はない。
成す術なく、目の前の男を睨んだ。
「っ…最低だ…、お前…!」
絞り出した怒りの滲む声に、御剣の瞳が見開かれる。
「キミにそう言われる筋合いはない…っ!」
言い切って成歩堂の口を片手で塞ぎ、そのまま腰を押し付けて絶頂に達した。
気持ちは伴わずとも、強く締め付けられ成歩堂も彼の中に吐き出した。
「は…っ…、ぅ…」
熱く叩きつけられる飛沫に御剣の体はひくひく震える。
しかし、怠いであろう体を直ぐに起こし、彼を内部から引き抜いた。
成歩堂は肩で息をしながら男を睨みつけていた。
「お前、何なんだよッ!」
激しい怒鳴り声と鋭く睨む黒い瞳に、御剣はビクッと震え直ぐに瞳を逸らして、立ち上がり逃げるように隣室へ入りドアを締めた。
そして僅かの後、スーツを着込んだ状態で再びドアを開けた。
長居をしたくないのか、おそらく処理もしていないであろう短時間だった。
成歩堂が声を上げる前に、御剣は手に持っていた物をベッドに縛られた相手の手元に放る。
それは事務用のカッターナイフ。
このままにして去るわけにはいかないが、自分がいる間に相手を自由にする訳にはいかないという苦肉の策だったようだ。
直ぐに背中を向けて部屋を出ようとする彼に、成歩堂は再び苛立ちを露わにする。
「御剣!お前のしたことは犯罪だ!」
責められ、御剣は思わず相手を見つめた。
罪悪感も見て取れるが、それを上回る怒りを含んでいるようだった。
「成歩堂…ッ!!……君は、最低、だ…!」
先程の言葉を返すようにそう言って成歩堂を見詰めた瞳は、とめどなく涙を溢れさせていた。
「……御、剣…ッ!?」
その言葉と涙に、何故か著しい頭痛を覚えた成歩堂が呼び掛けるのも聞かず、彼は姿を消した。
後には呆然とした成歩堂だけが残される。
…何かを思い出しかけていた。
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